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ウクライナからのメール       

松下宗柏

 

 2月25日、ロシア軍侵攻にさらされているウクライナの首都・キエフに住んでいるユリアと言う女性から「私はシェルターにいます(I am in the shelter)」というメールが画像とともに届いた。近くからは爆撃の音が聞こえるという。
 彼女は10年ほど前、東京外国語大学に留学中に「ふじのくに留学生ツアー」に参加し、当寺に滞在した。卒業論文は「日本における神道と仏教の平和的共存」だった。卒論作成の調査のために再訪した。その時のご縁で、今でもフェイスブックで繋がっている。「平和」を願って止まない親日家である。
 メールはロシアの人々に向けた悲痛な叫びにも似たロシア語による訴えとなっている。自動翻訳による日本語訳に手を加えて紹介させていただく。


 ロシアの友人の皆さんへ、ウクライナ人は自由です。私たちは(ロシア軍)に救われる必要はありません!ロシア語は私の母国語であり、私も家族もキエフでも東部でも困難を経験していません。私たちは誰とも戦争をしたくない、私たちの土地で平和に暮らしたい!全てをすぐに終わらせましょう。あなた方の軍隊は家族のもとに帰ります。小さな男(プーチンのこと)の野望のために、ここウクライナでは流血させない。私たちのサポート集会に参加する勇敢なロシア人に感謝しています。残念ながら、抗議者の数は少な過ぎます。何百万人も必要、皆を守ることはできません!どんな方法でも自分を守る!いっしょになってこの恐ろしい力を打ち負かすことができます!


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 同時に送られて来た画像には、ペットの篭に入れた猫とともに、地下鉄ではない粗末なシェルターに避難している女性の姿がある。「寒いだろう、怖いだろう,おなかもすいているだろう,なぜこんな目に遭わなければならないのか・・」と私は思いを馳せる。
 留学生ツアー参加者には、モスクワ、サンクトペテルブルク、イルクーツクなどロシアからの留学生もいた。中には「枕草子」の美意識に感動して日本語を勉強し始めたという人もいた。感性豊かで優しい心の持ち主たちだった。今回のロシアのウクライナ侵攻は、プーチンの支配欲と狂気がなせるものに他ならずロシア国民の同意は得られないのではないかと思う。人の心は神や仏にもなり鬼や悪魔にもなる、現実は人の心が造る、この世は心のあり方しだいで、浄土(蓮華国)にもなり地獄にもなると仏教は説いている。
 世界各地のみならず、ロシア国内でも勇気ある人々によって身の危険をかえりみず「戦争反対」の声が上がっているという。とくに、ウクライナの隣国ポーランド、ベラルーシと国境を接するリトアニアの人々はウクライナを支援している。旧ソ連による占領時代、多くの人々がシベリアに送られるなど苦しめられた体験をしており、ウクライナの人々と苦しみを共有しているからだ。
 東ヨーロッパは、「大スラブ主義」を掲げ不凍港を確保しようとするソ連、ロシアの脅威にさらされる。私は、ナチスドイツの侵攻による東ヨーロッパの困難な状況の中にあって、「命のビザ」の発給により六千人のユダヤ人の命を救った杉原千畝夫妻の偉業、危機にあって人間が発揮する人道の精神、無縁の慈悲(相手を選ぶことのない慈悲心)をあらためて思うしだいである。

                                  (2022年2月28日投稿)
 

ウクライナ、キエフシェルター.jpg